腸内細菌の調整と不安を系統的レビューした研究では、プロバイオティクスよりも食事による調整の方が優れているという調査結果が発表されています。
プロバイオティクスは不安を改善できるのか?
この研究(1)は腸内細菌を調節して不安症状を改善するかを調査した系統的レビューです。論文を精査した結果、21件の研究が選択基準を満たしました。選択された研究はすべてランダム化比較試験です。
内訳は以下のような感じ。
研究の内訳
- プロバイオティクスの介入:14件
- 非プロバイオティクスの介入(食事の調節など):7件
メモ
プロバイオティクスとは、腸内バランスを調節して人体に良い影響を与える微生物のことです。体に良いと言われている微生物は色々な種類があります。
プロバイオティクスの介入では、単一のプロバイオティクス介入が4件、2つのプロバイオティクス混合物を使用したのは2件、最低3つ以上のプロバイオティクスを使用したのは5件でした。主に使われたプロバイオティクスは以下の通りです。
プロバイオティクスの種類
- 乳酸菌
- レンサ球菌
- ビフィズス菌
一方の非プロバイオティクスの主な介入は以下のような感じ。
非プロバイオティクスの介入
- 食事による調節
- フラクトオリゴ糖
- 低FODMAP食
21件の研究は離脱率が20%以下で、全体的な品質は高かったです。
結果は以下のような感じ。
結果
- 21件中11件は腸内細菌の調節が不安症状を改善した
- プロバイオティクスサプリを使用した研究の45%が不安症状を改善した
- 非プロバイオティクスの研究では80%が不安を改善した
- ほとんどの研究で重度の副作用はなし(軽度の下痢や口の乾きが4件あり)
結果は全体の52%の研究が不安症状を改善できると示しました。想像したよりも少ないというのが正直なところ。
特にプロバイオティクス介入に目を向けると、全体の45%が効果的とわかりました。一方の非プロバイオティクスは80%の研究で効果をあげています。どちらの方法でも腸内細菌を調節することはできますが、非プロバイオティクス介入(食事介入)の方が大幅に優れています。
著者は以下の3つの理由を挙げています。
(A)腸内細菌のエネルギー源は主に食物です。食物構造の調整を通じて腸内細菌を調整すると、腸内細菌のエネルギー供給構造を直接変更でき、腸内細菌の成長に決定的な役割を果たしているため。
(B)すべての研究はプロバイオティクスの介入を実施しましたが、プロバイオティクスの種は多様であり、移植されたフローラと原始フローラで生存競争があった。
(C)含まれた研究のほとんどの介入時間は4-8週間だった。 これは短すぎて輸入微生物の量を大幅に増やすことができないため、被験者の腸内細菌を効果的に調整できなかった。
色々な理由は挙げられていますが、食事による調節の効果はプロバイオティクスサプリの効果よりも優れているわけですね。また副作用も軽度で4件のみなので、非常に安全で不安症状を改善できると言えます。
プロバイオティクスをメンタル改善に使おうとしている人は食事による調節の方が効果的かもしれません。
それではぜひ参考に。