ヨガの中でもプラナヤマという呼吸法がストレスに良い影響があるかを調査した研究では、知覚ストレスや心血管パラメーターを改善すると示されています。
プラナヤマのストレス解消効果
この研究(1)は知覚ストレスと心血管に対するプラナヤマの効果を検証した実験です。プラナヤマとは、ヨガの呼吸法の一種です。プラナヤマの中にも、色々な種類があるようで、この研究では高速の呼吸と低速の呼吸に分類しています。
参加者は90人の20歳前後の男女です。過去1年でヨガをしたことがある人は除外されています。すべての参加者はいずれかのグループにランダムで分けられました。
グループ分け
- 高速プラナヤマ:30人
- 低速プラナヤマ:30人
- プラナヤマなし:30人
プラナヤマのトレーニングは週3回を12週間にわたって行われています。それぞれの呼吸法は以下のような感じ。
高速プラナヤマ
- カパラバディ:横隔膜を上に押し上げながら肺からすべての空気を強制的に排出するよう指示。吸うときは鼻から受動的に行う。
- バストリカ:胸部呼吸に重点を置いた呼吸法。深く吸って、次々と息を吐き出すよう指示。10回吐いた後、可能な限り深くゆっくり吸う。
- ククリヤ:口を大きく開け、舌を可能な限り押し出す。その後舌を口から垂らした状態で、高速に息を吐き出す。10-15回やった後、リラックスに戻る。これを3セット。
それぞれ1分練習して、1分休憩を1サイクルと呼び、3サイクル以上をやってもらいました。
低速プラナヤマ
- ナディショダナ:ゆっくりとリズミカルに片鼻呼吸をする。「指で片方の鼻を閉じて呼吸」を繰り返す。
- サビトリ:吸う、保持、吐く、保持を2:1:2:1で繰り返し行う。具体的には呼吸は6秒ずつ、保持は3秒ずつ。
- プラナバ:「AAA」「UUU」「MMM」と声に出しながら、息を吐く呼吸法。吐くときは吸う時の2-3倍の時間で吐ききる。
それぞれ2分ずつ行って、各1分ずつ休憩しました。セッションが終了したら、以下の診断を行っています。
診断内容
- 心拍数
- 血圧
- 知覚ストレス
結果は以下のような感じ。
結果
- 高速・低速ともに知覚ストレスを有意に減少させた
- 高速は心血管に有意な違いが見られなかった
- 低速は心拍数・拡張期血圧・平均動脈圧を有意に減少させた
結果は高速でも低速でも知覚ストレスを有意に減少させました。しかし、心血管パラメーターは低速のみで有意に減少しています。つまり、低速のプラナヤマでは交感神経の減少と副交感神経の増加が示されたわけです。
また知覚ストレスは高速・低速の療法で有意な低下が確認されました。著者によると、自律神経が原因の可能性があるとか。
ストレスの軽減はグループ1・2の被験者で観察されたより良い自律神経緊張(副交感神経がより高く、交感神経緊張がより低い)が原因である可能性があり、ストレスの軽減によってプラナヤマの低速グループと高速グループで心血管機能が改善された可能性があります。
ちなみに高速のプラナヤマは心血管機能が安定している被験者に向いているようです。副交感神経を有意にできるとわかったので、眠る前に試してみる価値があります。
それではぜひ参考に。
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