音楽とリラクゼーションの比較研究では、どちらも知覚ストレスの軽減に優れていると示されています。音楽に関しては音楽を聴く目的が効果を変えました。
音楽とガイド付きリラクゼーションの比較
この研究(1)は64人の男女を対象として行われました。実験期間は3-10日間で参加者選択式で、平均7.31日参加しています。そして、参加者は以下の3つにランダムで分かれてもらいました。
グループ分け
- 音楽
- BGM付きのガイド付きリラクゼーション(音楽+言語)
- ガイド付きリラクゼーション(言語)
メモ
ガイド付きリラクゼーションとは、瞑想やヨガなどの音声ガイドを聞きながら行うリラクゼーションのことです。
音楽群は「5分」「10分」「15分」「20分」のどれかを選択し、以下のジャンルから音楽を選択できました。
音楽
- 音楽群:ロック、ポップ、クラシック
- 音楽+言語群:アンビエント、ラウンジ、アコースティック
そして、参加者は指定されたアプリをインストールして、最低1日1回使用するよう指示されました。アプリ使用時には、使う目的を「アクティブ」か「リラックス」の2つから選んでもらいます。後はストレスや弛緩度合い、交感神経活動の測定をして終了しています。結果は以下のような感じ。
結果
- 3群ともストレスの軽減・リラックスの向上を示した
- 音楽は言語(+音楽)よりも効果的だった
- 音楽だけが電気皮膚抵抗の低下をもたらした
- 目的がリラックスのとき、アクティブよりも高いリラックス効果が大幅に向上した
全体として音楽を聴くこととガイド付きリラクゼーションは知覚ストレスを軽減し、リラックスと活性化を促進するのに効果的だとわかりました。特に今回の実験では音楽が最も頻繁に使われていたため、日常生活でも手軽なストレス解消手段として役立つ可能性があります。
また今回の実験で面白いのが音楽を聴く目的によって効果が違う点です。目的がリラックスのとき、アクティブよりも効果が高くなりました。この結果について著者は以下のように述べています。
これらの発見は、目的の意識的な選択が音楽の有益な効果、あるいは音楽と言語を組み合わせた手段のために重要な役割を果たすという意味で解釈されるかもしれません。
今回の研究は深いところまでは調査できていないのがデメリットです。具体的にはリラックスしたいという目的が効果を持つのか、リラックス向けの音楽が効果を持つのかはわかっていません。このあたりは今後の研究に期待したいですね。
それではぜひ参考に。