ストレスに対する音楽の効果を検証したメタ分析では、音楽が生理学的にも心理的にもストレスを低下させると発表されました。
ストレスに対する音楽の効果を検証したメタ分析
この研究(1)は生理学的ストレスと心理的ストレスの両方に対する音楽の効果を調査したメタ分析です。
ストレスの種類
- 生理学的ストレス:ストレスホルモンや血圧、心拍数など
- 心理的ストレス:不安や緊張、落ち着きの無さなど
対象になった研究はランダム化比較試験でした。精査した結果、104件の研究が選択基準を満たしています。合計サンプル数は9,617人です。内訳は以下のような感じ。
グループ分け
- 音楽介入:4,838人
- 対照群:4,779人
結果は以下のような感じ。
結果
- 音楽は生理学的ストレスを減少させると示した(d=0.38)
- 最も強い効果は心拍数(d=0.456)で、血圧(d=0.343)とストレスホルモン(d=0.349)も効果を示した
- 心理的ストレスは生理学的ストレスよりも有意な効果を示した(d=0.545)
結果は音楽がストレスに対して中程度の効果があるとわかりました。生理学的・心理的どちらも効果が見られたのは素晴らしいですね。
メタ分析の結果は短期間の音楽で、直接的なストレス軽減効果が示されています。音楽の効果は比較的即効性のあるものだと考えられますが、正確な頻度や期間はわかっていません。
今回の結果について著者は以下のように述べています。
このメタ分析的研究は、音楽介入がストレスの軽減に効果的であると示している。多くの人々が日常生活と特定の状況(例えば、医療施設やメンタルヘルスケア施設、仕事関連施設)の両方で、ストレス関連症状に苦しんでいる。音楽介入は日常生活と医療環境の両方に容易かつ安価に導入できるという事実を考慮すると、音楽介入の効果を認識することが重要である。
このメタ分析で音楽の効果が示されましたが、低コストや副作用のなさを考えれば、ストレスに対してかなり効果的な介入に見えます。ストレスを感じたときは積極的に試してみたいところです。
具体的にどんな音楽を聴くとストレス軽減効果が高いのか?
この研究では色々な音楽介入を検証しています。
診断内容
- 介入のタイプ(音楽の練習や音楽を聴く)
- 音楽の導入(生演奏や録音の音楽)
- 音楽のスタイル(リラクゼーション音楽や自分で決めた音楽)
- 歌詞の有無
上記を検証しましたが、特有の緩和効果が見られませんでした。唯一特有の緩和効果が見られたのは音楽のテンポです。60-80bpmの音楽はテンポの指定がない音楽よりも大きな効果を示しました。
ちなみに80bpmがこのぐらいのテンポです。
このテンポはゆったりとした心地よい音楽とされています。音楽を聴いてストレスを軽減したいなら、スローテンポの音楽を聴くべきです。
また音楽の効果をより引き出すなら、他者の存在下で音楽を聴くと良いかもしれません。他者がいるときに音楽を聴くと、ストレス軽減を強化すると示されています。
それではぜひ参考に。