ストレスとワーキングメモリの研究によれば、朝に1日のストレスを予測するとワーキングメモリのパフォーマンスを落とすと発表されました。
ストレス予測とワーキングメモリパフォーマンス
この研究(1)はストレス予測によるワーキングメモリパフォーマンスを調査したものです。参加者は240人の成人で、研究用のスマホを渡されました。
それから2週間は朝と就寝前に簡単なアンケートに回答してもらっています。アンケートの質問は以下のような感じ。
質問内容
- 朝のストレス予測:今日はどのくらいストレスがかかると思うか?
- 終日ストレス予測:明日はどのくらいストレスがかかると思うか?
- 通知音調査:通知が鳴ったら、2択の質問。前回の調査以降、ストレスの多い出来事が発生したか?
- ワーキングメモリ
通知音はランダムに、5回調査されています。結果は以下のような感じ。
結果
- 朝のストレス予測のレベルが高いほど、ワーキングメモリタスクのエラー率が高かった
- 昨夜のストレス予測はワーキングメモリパフォーマンスとあまり関係なし
- ストレス予測の効果は年齢に関係なく起こった
結果は朝にストレス予測がされたときに、1日を通してワーキングメモリパフォーマンスを低下させました。特に重要なのがストレス予測の影響は発生したストレスイベントの影響以上で、予測が外部ストレッサーとは無関係に影響を与えると示されています。
予測自体がワーキングメモリに影響を与えるとはびっくりですね。ストレス予測の情報が注意リソースを奪い、注意力を損なう可能性があるとのことです。
著者はストレス予測による認知機能低下を逆に利用することをオススメしています。
この研究はストレス低減介入の方法を示唆する。例えば、ストレスが予想される日を目標にすると、その日の認知微小障害を改善するのに役立つかもしれない。これは、高齢者やワーキングメモリが基礎的に低い集団において、日常生活における認知機能の低下を予防するために特に有用であろう。
つまり、「今日はストレスがありそうだな」と思ったら、リラックスしたり集中が必要な作業は避けたりといった行動が取れるわけです。朝思ったことをリトマス紙のように利用できます。ちなみにストレス予測の対処法はまだ研究が必要だとか。
それではぜひ参考に。