一般的に孤独はメンタル面への悪影響が有名です。実際に過去のメタ分析(1)でも、全死因死亡率に有害な影響を示しています。しかし、「一人の方が楽」「一人でいたい時もある」という意見があるのも事実です。新しい研究では、自分の意思による孤独がストレスを軽減するという調査結果が発表されました。
15分の自律的な”孤独”がストレスを軽減した研究
今回紹介する研究(2)では、4つの実験でその辺りを調査しています。中でもストレスやリラクゼーションを調査した実験を見ていきましょう。参加者は157人の大学生で、以下の2つにランダムで分けられています。
グループ分け
- 孤独群(82人):15分間一人で過ごしてアンケートに回答
- 対照群(73人):指示なしでアンケートに回答
参加者全員は一日の終わりにアンケートを記入してもらいました。アンケートの内容は以下のような感じです。
診断内容
- 孤独スコア
- 主観的な活力
- 人生満足度
- 知覚ストレス
- PANAS:ポジティブな感情とネガティブな感情を評価
これらのアンケートを一週間にわたって回答してもらいました。結果は以下のような感じ。
結果
- 孤独群はポジティブ・ネガティブレベルともに大幅低下させた(孤独の不活性化効果)
- 孤独の自律性が低い人はストレスがわずかに大きく、生活満足度や心理的な満足度が大幅に低下した
- 自律性が高い人はより低い覚醒のポジティブな影響と少ないストレスを示した(孤独による負の効果なし)
結果は孤独がポジティブ・ネガティブの高覚醒を減少させ、ポジティブ・ネガティブの低覚醒を増加させると示されました。つまり、低覚醒感情を増加させて、穏やかで平穏である傾向があるということですね。ちなみに論文では他の3つの実験を統合してメタ分析も行われていて、同じ結果でした。
今回の研究で特に面白いのは、孤独の自律性がメンタルに対する悪影響を緩和するだけではなく、ストレスやリラックスレベルに有益な効果を示した点です。
メモ
自律性とは、言われたとおりにやるだけではなく、自分で考えて管理し行動することを言います。この自律性が高い上で、孤独の時間があるときは孤独の悪影響がなく、ストレスやリラックスレベルも改善してくれるわけです。
疲れたときや悩みがあるときに「一人になりたい」と思うのは自然なことですが、科学的にも良さそうですね。ただ自律性が重要なので、人から勧められて一人になるのはオススメできません。
著者は以下のように述べています。
本研究は孤独が興奮などの高覚醒の影響を減少させることを確認しました。ポジティブな感情を減少させたくない場合もあるかもしれませんが、過剰なエネルギッシュになったり興奮したりすることもあります。例えば、眠りたいのに眠れないときなど。そんなときは孤独が役に立ちます。一人になると、興奮性の強い否定的な感情が抑制され、怒りや不安が軽減されます。孤独は状況に応じて、人々をよりリラックスさせ、穏やかにさせます。
今回の研究でわかったのは、孤独には利点と欠点があるということです。個人的に孤独は悪影響があるという印象が強かったですが、利点もあるというのは勉強になりました。「1日15分を目安に一人の時間を作る」を試してみようかと思います。
それではぜひ参考に。