瞑想がメンタル面に良い効果があるのはよく知られています。中でも慈悲の瞑想を調査した研究では、メンタル面を広範囲にわたって改善すると発表されました。
慈悲の瞑想と精神病理学の系統的レビュー
この研究(1)は慈悲の瞑想と精神病理学治療の系統的レビューです。慈悲の瞑想とは、仏教における伝統的な瞑想法です。ざっくり言うと、慈愛の言葉を唱えながら瞑想をします。ややスピリチュアルな感じもありますが、多くの研究でメンタルの改善が確認されています。
で、今回は慈悲の瞑想の系統的レビューです。論文を精査した結果、20件がすべての選択基準を満たしました。20件中14件はランダム化比較試験で、研究品質スコアは中程度です。
結果は以下のような感じ。
結果
- 怒りの軽減
- 生活の質を有意に改善
- ストレスレベルを減少させた
- 肯定的な感情レベルを有意に改善(愛、喜び、感謝など)
- 社会性や対人関係、自己意欲を有意に改善
- 自尊心を有意に改善
- うつ症状や不安を有意に改善した
- 炎症の保護作用
- 希望の向上と関連
- 共感の正確さを有意に改善
- 前頭前野における神経活動を有意に増加
これらの結果から、慈悲の瞑想がメンタルヘルスの予防や治療に広範囲にわたって利用できる可能性が見られました。メンタルに良いのは知っていましたが、まさかここまで結果が出ているとは思いませんでした。慈悲の瞑想を昔からやっていた仏教は本当に凄いですね。
また論文では特に頻繁に観察された改善点として以下の5つを挙げています。
頻繁に観察された改善点
- ポジティブ・ネガティブへの影響
- 心理的苦痛
- ポジティブ思考
- 対人関係
- 共感の正確さ
メンタルや思考にここまで影響が出るとは凄まじい。ちなみに研究では1回20分のトレーニングを週1回、3-12週間で有益な効果が出ています。比較的短時間で結果が出るのは嬉しいポイントですね。
また著者は以下のようにも述べています。
神経生物学的性質のメカニズムに加えて、慈悲の瞑想後の他者に対する愛情の増加は社会的つながりや社会的行動を改善することが示されている。慈悲の瞑想実践後に生じうる大きな社会的つながりは、孤独感や孤立感、目的意識の低さの感情と同様に、生活のストレス要因に対して保護的な影響を及ぼしうる。
孤独などのストレス要因に対しても保護的な影響が出るのは素晴らしいですね。スピリチュアル感満載の瞑想を避けがちだった人もこの結果を見れば、印象が大きく変わったのではないでしょうか?個人的には、この研究で慈悲の瞑想の評価が爆発的に上がりました。
それではぜひ参考に。