筆記療法の研究では過去の失敗について書くと、集中力やストレスを改善すると発表されました。
過去の失敗を書くとコルチゾールはどう変化するのか
この研究(1)は98人の男女を対象として行われました。参加者は以下の2つにランダムで分かれています。
グループ分け
- 失敗群(48人):自分が成功しなかった厳しい時期について書く
- 対照群(50人):最近見た映画の感想を書く
参加者は全員10分間筆記をしてもらった後で、トリーア社会ストレステストや持続的注意課題をやってもらいました。
メモ
トリーア社会ストレステストとは、参加者にストレスを与えるためのテストです。
そして、唾液サンプルを採取して実験は終了しています。結果は以下のような感じ。
結果
- 失敗群はコルチゾールの有意な減少を示した
- 対照群はストレス操作でコルチゾールが有意に増加していた
- 失敗群は持続的注意課題のエラーが大幅に少なかった
これらの結果から過去の失敗について書くと、コルチゾールの減少と集中力が改善するとわかりました。筆記療法では主に過去のトラウマを書いてストレスを改善していましたが、今回は失敗だけ書いてコルチゾールの低下を示しています。
著者は筆記療法によるエラー率減少について以下のように述べています。
私達は失敗について書くことが持続的注意課題の反応時間を増加させることを発見した。すべての参加者は、速度と精度のトレードオフを示しました。反応時間が最も遅い参加者が最高のパフォーマンスを示しました。まとめると、これらの調査結果は過去の失敗について書くことは将来の失敗を避けるために、より遅く、より慎重な選択をすることにつながり、パフォーマンスを向上させるという主張を裏付けるものです。
つまり、過去の失敗を書くことで慎重に課題をこなしていくようになったということですね。ちなみに集中力の完全に関していえば、ストレスが集中力に有害という研究(2)は出ていたので、ストレス解消効果による改善も考えられます。
不安やストレスを感じたときにぜひ試してみてください。
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