悪臭の不快感がストレスを誘発するをガッツリ調査した研究が興味深かった話

ゴミ山

 

異臭で気分が悪くなることは誰でもありますが、匂いとストレスの研究では悪臭による不快感がストレスホルモンを有意に増加させると発表されました。

 

匂いに対するストレス反応をガッツリ調査した研究

この研究(1)は匂いに対する生理学的な反応をガッツリ調査した研究です。実験は6つ行われています。基本的に匂いを嗅いでもらって、ストレスや不安を測定するという内容です。使用された悪臭は日本の悪臭防止リストにあった3つの悪臭と2つの良い香りを使用しています。

 

匂いの種類

  1. 吉草酸(IVA):足の裏の匂い
  2. ジメチルジスルフィド(DMDS):腐敗臭,ニンニクの匂い
  3. n-VAL:?
  4. MUS:?
  5. バニリン(VAN):バニラの香り

 

上記のような感じで、ストレスの生理学的な反応が出るかを調査したわけです。実験をすべて紹介すると長くなってしまうので、ポイントごとに紹介していきます。

 

悪臭とストレス研究のポイント

1.悪臭でストレスホルモンは増える?

最も基本的なことですが、悪臭がストレスを増やすかの実験が行われました。ストレスの測定は唾液を採取して、「唾液コルチゾール」と「唾液αアミラーゼ」を測定しています。どちらもストレスを測定するのに使われる定番の指標です。

結果は以下のような感じ。

 

結果

  • 唾液コルチゾールは変わらなかった
  • 唾液αアミラーゼは有意に増加した

 

結果は悪臭が不快で不安を誘発していても、唾液コルチゾールの分泌には影響がありませんでした。一方で唾液αアミラーゼは不安が有意に増加するとともに、増加が観察されています。メカニズムはわかりませんが、悪臭は唾液αアミラーゼにおいて有意に増加するとわかりました。

 

2.悪臭の濃度によってストレスの誘発は変化する?

悪臭によって唾液αアミラーゼが増加したので、今後は匂いの濃度によって変わるかを実験しました。比較した濃度は以下のような感じです。

 

グループ分け

  1. 0.01%
  2. 0.1%
  3. 1%
  4. 10%

 

ちなみに先ほどの実験は10%の濃度で行われています。さっそく結果を見ましょう。

 

結果

  • 10%は先ほどと同様に不快な匂いで唾液αアミラーゼを有意に増加させた
  • 1%以下は不快感が少なく、唾液αアミラーゼの有意な変化は誘発しなかった

 

結果は悪臭による不快感があると、唾液αアミラーゼの分泌が増加すると示されました。1%以下では不快感が少なかったので、有意な変化は確認できていません。

 

3.香水でストレスホルモンは誘発できる?

今までの実験は濃い匂いで、唾液αアミラーゼが有意に増加しました。そこで同じ濃度で良い匂いなら、どう変化するかを調査しています。

使用したのは香水で、実験内容は先ほどと同じです。

 

結果

  • 香水は無臭よりも不安レベルが有意に低かった
  • 唾液αアミラーゼは変化なし

 

結果は唾液αアミラーゼが変化しませんでした。つまり、匂いが濃ければ、唾液αアミラーゼが分泌されるわけではないようです。ちなみに不安レベルは無臭よりも有意に低下しているので、日常的に使うとメリットがありそうですね。

 

4.同じ匂いでも情報操作でストレスは変わるか?

この実験は悪臭は悪臭でも、情報操作して比較しました。具体的には先ほど変化なしだった0.1%濃度の悪臭を使用して、以下の2つに分けています。

 

グループ分け

  1. 中立群:ボトルAの匂い
  2. 負の情報群:「口臭の成分」が入ったボトルAの匂い

 

薄い匂いでも「口臭の成分」という情報を追加して比較しました。

結果は以下のような感じ。

 

結果

  • 負の情報群の方が不安を大幅に増加させた
  • 負の情報群のみ唾液αアミラーゼを有意に増加させた

 

結果は負の情報による影響を受けて、唾液αアミラーゼレベルが増加しました。薄いとはいえ悪臭ではありますが、嗅覚以外の部分でもストレスは増加するとは興味深い結果ですね。

 

5.悪臭に良い香りを混ぜたらストレスを軽減できる?

この研究では臭気マスキングの効果を検証しています。ざっくりいうと、悪臭を抑制するために良い匂いを混ぜると、ストレスにどう影響するかを検証したわけですね。

 

グループ分け

  1. 吉草酸+バニリン(バニラの香り)
  2. 吉草酸+無臭

 

ざっくりいえば、「悪臭+バニラ」と「悪臭」を比較しています。結果は以下のような感じ。

 

結果

  • 悪臭は悪臭+バニラよりも有意に不快と示された
  • 悪臭+バニラは唾液αアミラーゼを増加させなかった

 

結果はバニラの香りで臭気マスキングすると、ストレス反応が出ないとわかりました。組み合わせによってはさらにキツイ匂いになりそうですが、悪臭とは別に良い匂いが存在すると反応が変わります。

 

まとめ

悪臭とストレスの実験をここまで見てきましたが、総じて主観的な不快感が不安や唾液αアミラーゼを増加させていました。実際に匂いの快感と不安・唾液αアミラーゼは有意に強い負の相関が見られています。

メカニズムは正確にわかっていませんが、「臭気物質」と「知覚」の2つが挙げられています。著者は以下のように述べています。

 

臭気によるストレス反応は知覚依存ではなく、物質依存である可能性がある。例えば、臭気物質の大部分は嗅覚神経に加えて三叉神経を刺激するため、臭気物質は刺激を引き起こす可能性がある。また、鼻や肺の粘膜を介して血流中に入り、薬理作用を示すこともある。このような物質依存性の影響が存在する可能性があるが、今回の結果は不快感自体がストレス反応を引き起こす可能性があることを示した。

 

匂いの不快感が原因なら、対策もしやすそうですね。

実際今回の研究では、悪臭によるストレス反応を良い匂いを混ぜることで、防止することができました。これはストレスと匂いの研究の中で最初の実験だとか。匂いの問題は会社でもよくある話なので、対策があるのは嬉しいですね。

それではぜひ参考に。

 

 

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