26年分の論文をメタ分析した研究では、アルコールを安全に飲めるレベルは「ない」という調査結果が発表されました。
アルコールを安全に飲めるレベルは”なし”
この研究(1)は過去1年間に1回以上飲酒した人の有病率推定を目的に行われた系統的レビューとメタ分析です。研究の本気度が凄まじく対象にした論文は1990年から2016年までで195カ国、男女15歳から95歳までとなっています。
対象になった論文
- アルコール使用リスクに関する研究:592件
- 個人・人工レベルのアルコール消費データ:694件
今まで色々な系統的レビューを見てきましたが、トップクラスに大規模な研究ですね。読んでいていて興奮してきます。
結果は以下のような感じ。
結果
- 2016年には全世界の32.5%が飲酒していた
- 平均消費量は男性1.7杯/日、女性0.73杯/日
- 2016年には2800万人がアルコールに起因して死亡(世界全体の約10%)
- アルコールによる健康損失を最小にするには毎日の摂取量を「0」に抑えなければならない
- 毎日の飲酒量の増加とともに健康損失も単調に増加した
- アルコールは虚血性心疾患と有意に関連
これらの結果から、アルコールの健康リスクを最小にするには毎日ゼロがベストとわかりました。ちなみに過去の研究では1日2杯まではOKという結果だったので、それとは矛盾した形です。
今回の研究で世界標準な飲み物とわかりましたが、アルコールのリスクを過小評価していた可能性がありますね。「酒は百薬の長」ということわざも大嘘です。ちなみに著者はこの結果について以下のように述べています。
我々の結果はアルコール規制政策と保健プログラムを再検討し、禁酒の勧告を検討する必要があることを示している。人口レベルで飲酒を減らすという点では、WHOはベスト・バイを提供しています。ベスト・バイとは、平均的な個人所得よりも少ないコストで、1年間の健康な生活を提供する政策(2※PDF)です。各国政府はアルコールに対する物品税やアルコールの物理的入手可能性、販売時間の管理、アルコール広告の管理を含む広範な政策の枠組みにおいて、これらの勧告をどのように実施できるかを検討すべきである。
飲酒は世界標準な飲み物なので、本気で消費量を減らすとなると国単位で政策が必要となるようですね。
個人的にも飲酒は本気で見直す必要がありそうです。そもそも飲む方ではありませんが、ますます禁酒が進みそう。今はお酒を飲まないほうが白い目で見られがちですが、今後は変わってくるかもしれませんね。
それではぜひ参考に。