職場で自分の悩みを伝えるかどうかは悩みどころです。新しいメタ分析によると、目に見えない悩みを周りに伝えることは職場での成果とポジティブに関係していると示されました。
悩みは表現すべきかのメタ分析
この研究(1)は職場内外で自分の悩みを伝えるべきかどうかを検証したメタ分析です。論文を精査した結果、65件の研究が選択基準を満たしました。このメタ分析での調査はざっくりいうと以下のような内容です。
調査内容
- 悩みの表現が自分にとってポジティブな結果が出るか
- 悩みの表現で人間関係にポジティブな影響が出るか
- 悩みの表現が職場でより良い成果
- 職場以外の悩みの表現とポジティブな人生
- 視認性:見に見える悩みかどうか
- 可制御性:コントロール可能かどうか(肥満は身体障害よりも否定的に扱われやすい)
上記のように色々なパターンを想定して、分析を行っています。結果は以下のような感じ。
結果
- 悩みの表現は自分のポジティブな結果と有意に関連していなかった
- 悩みの表現はポジティブな対人関係の結果と有意に関連していない
- 悩みの表現はポジティブな職場での成果と有意に関連していた(それ以外は有益な結果と関連なし)
- 目に見える悩みを表現すると、ポジティブな結果を減少させた
- コントロール可能かどうかは関係がなかった
- 性癖や宗教の表現は有意に良い結果を示した
- 聞き手が男性よりも女性であるとき、ポジティブな結果が得られやすい
メタ分析の結果から、悩みを打ち明けるのはポジティブな人間関係とは無関係だとわかりました。一般的に人の反応は中立的なようです。また仕事の満足度や評価の増加とも関係がありません。
単純に悩みを打ち明ければいいというわけではないようですね。今回の結果で興味深いのは、目に見えるかどうかに依存している可能性がある点です。
つまり、目に見えない悩みを打ち明けるとポジティブな結果と関連していて、目に見える悩みだと否定的な反応を引き出してしまう可能性があります。コントロール可能かどうかも、視認性ほどの影響はないと示唆されました。目に見える悩みの場合は黙っておくのが良いみたいですね。
このメタアナリシスによると、自分の悩みを表現することによって、他者からの否定的な反応や反発を招くという恐れの多くは間違いである可能性がある。実際、あまり目立たない悩みの場合、表現することでポジティブな対人関係や職場、職場以外の結果と関連している。目に見える悩みを表現することは同じポジティブな結果と関連しないので、周りに明白な悩みをもつ人は他のアイデンティティ管理戦略を利用すべきである。
ちなみに今回の結果は聞き手が男性よりも女性のときに良い結果が出ています。悩みを打ち明けるときは性別も考えてみると良いかもしれません。
それではぜひ参考に。