45万人を対象とした研究では、年収750万円以上から幸福度が上がらなくなると示されています。
幸福度と年収の研究
この研究(1)は45万人以上のアメリカ居住者を対象として行われました。調査はすべて電話インタビューで、毎日1000回以上のインタビューを1年以上続けています。かなりストイックな調査ですね。
質問内容は以下のような感じ。
質問内容
- 基本的な人口統計データ
- 個人的な財政状況
- 過去の病気など
- 主観的な幸福度(楽しさやストレス、笑顔、悲しみなど)
- 人生評価
そして、個人の特性を調整して結果は以下のような感じ。
結果
- 年収が750万円を超えると、感情的な幸福度は増加しなくなる
- 個人の人生評価は年収1200万円を超えても増加し続けた(ラダースコア)
これらの結果から、年収750万円以上は感情的な幸福度は上がらなくなるとわかりました。一方でお金の不足は感情的な不幸と低い人生評価の両方をもたらすと示されています。年収750万円以上は幸福度が上がらないとはいっても、それ以下では多くの要因で徐々に悪化していくわけです。
とはいえ、今回の結果はアメリカのデータです。2008年時点でのアメリカの平均世帯収入は715万円で、世帯の約1/3が750万円を超えていたとか。日本の平均世帯収入は560万円なので、微妙にズレが生じる可能性はありますね。
著者は今回の結果について以下のように述べています。
われわれの所見を解釈する際は、変化と相違を区別することが不可欠です。私たちのデータは違いだけを表しています。人々が1000万から1500万円への昇給に満足しないとか、それに相当する収入の減少に無関心であるという意味ではありません。高い範囲の所得の変化は、確かに感情的な結果をもたらします。このデータが示唆しているのは、一定水準以上の安定した収入だと感情的な幸福は性格や生活環境における他の要因によって、制約されるということです。
今回の研究結果を見て、750万円以上に設定している従業員の給料を減らすというのは間違いなのでご注意を。ちなみに人生の評価が1200万円以上でも増加し続けたのは、感情的な幸福と人生評価の違いからだとか。前者は経済的地位に敏感ですが、後者は人と過ごす時間や病気の親族などの感情を引き起こす状況に敏感です。
ここからわかるのは年収750万円までは収入に目を向けると幸福度が上がりますが、それ以降は人間関係に目を向けるのが良いということですね。
それではぜひ参考に。