創業者からCEOになる時の8つのハードルと必要不可欠な5つの視点

スタートアップのステップ

 

今回はスタートアップ企業から持続的で収益性の高い規律性ある組織への進化における重要なステップを解説します。

 

創業者起業家向けのロードマップ

この研究(1)はスタートアップから成熟へと導こうとする創業者起業家向けのロードマップを作成したものです。これは著者のジョセフピッケン教授が起業家や経営幹部としての30年以上の経験から、導き出したロードマップとなっています。科学的な根拠でいえば、専門家の意見が最低レベルなわけですが、中々参考になる内容でした。

まずベンチャーは「スタートアップ」「移行」「スケーリング」の3つの段階を経ます。それぞれでやることは以下のような感じ。

 

ベンチャーの3段階

  1. スタートアップ:ビジネスコンセプトの定義と検証
  2. 移行:企業を構築する期間で、スケーラブルな企業基盤を築く
  3. スケーリング:競争力のある規模を達成し、持続可能な市場でリーダーシップの地位を確立する

 

その中でも移行中には創業者が複数の運用やマネジメントの課題に同時に向き合う必要が出てきます。このようなスタートアップから移行するときの8つのハードルが以下の通りです。

 

8つのハードル

  1. 方向の設定と焦点の維持
    起業家は自分の目標を明確にし、状況を現実的に捉え、組織が適切な目標に集中し続けるための明確な方向性(ターゲットとなる顧客、製品、バリュー・プロポジション、ビジネス・モデル、主要なマイルストーン)を確立し、伝えなければならない。
  2. 拡大する市場における製品・サービスの位置づけ
    顧客との関係と流通チャネルを構築し、製品/サービスの提供を拡大、洗練、再配置して、拡大する市場のニーズに対応する必要があります。
  3. 顧客/市場の反応性の維持
    初期の段階では、お客様の問題が発生した場合、迅速な意思決定と迅速な解決が行われます。成長に伴い、機能の特化と組織の階層化によってプロセスが遅くなり、顧客の応答性を維持するために新しいプロセスとプラクティスを開発して導入する必要があります。
  4. 組織・経営体制の構築
    経営陣の育成が重要です。企業が成長するにつれて、必要とされるスキルや組織の要求は大きく変化し、戦略やビジネス要件との整合性を確保するためには、慎重な計画と柔軟性が必要となる。
  5. 効果的なプロセスとインフラの開発
    効果的な意思決定プロセスは、効率的な運用/管理プロセスおよびインフラストラクチャとともに、成長をサポートするために不可欠です。市場における企業の成長に伴い、顧客に価値を提供し、変化する環境に適応し、成長するビジネスをサポートするために、新しいシステムとインフラストラクチャが必要になります。
  6. 財務体質の強化
    資金調達だけが目的ではない。投資家はまた、資源の効率的な利用、効果的な管理、運転資本の効率的な管理、信頼できる財務予測、明確で効果的なステークホルダーとのコミュニケーションにも関心を持っている。
  7. 適切な文化の育成
    創業者には、企業のビジネス目的と戦略を支える価値、信念、規範を反映した文化を形成し、形作る機会がある。そうしないと、無意識のうちに企業の失敗を助長するような機能不全の文化が発達する危険がある。
  8. リスクと脆弱性の管理
    すべての卵を1つのバスケットに入れて急速に成長するベンチャー企業は、急速な成長を含むリスク源に対して特に脆弱である。限られた収益基盤や未経験者、主要な従業員の離反、インフラ・情報・管理体制の不備、起業家的リスクを取る傾向があります。

 

上記の課題はスタートアップから持続的で収益性の高い成長が可能な組織への進化に不可欠なステップです。特に持続可能な企業を構築しハードルを超えて、組織をリードするためにはリーダーシップスキルや成熟度、ドメイン知識を開発しなければなりません。

しかし、緩やかに成長している組織ならともかく、急速に成長している企業の創設者にとってはかなり短い期間で習得する必要があります。過去の研究(2)でも示されているように、この移行期間には失敗する可能性の高い要因が潜んでいます。

 

スタートアップの困難さが克服された後、事業の失敗の最も可能性の高い原因は一人の起業家的な経営スタイルから機能的に組織された専門的な経営チームへの移行において遭遇する問題である。しかし、そのような移行を達成することはほとんどの創業者の心理学的な構成と性格特性のために難しい課題である。

 

成長している企業をリードするスキルは立ち上げのときとは全く異なるスキルが求められます。よく挙げられる例では技術面に明るい起業家はスタートアップの製品開発時は最高のリーダーになりますが、移行とスケーリングでは販売やマーケティング、マネジメントを重視したスキル・経験が必要になるという感じです。

この部分の要因も論文ではまとめてくれているので、日本語訳して表にしておきました。GoogleDriveなので印刷や保存も可能です。

 

CEOとしての創業者の生存に影響する要因

 

文献のレビューでは、CEOの立場を把握する創業者にとって複数の要因が重要であると示されています。CEOは創業者の生存に影響する要因を認識し、知識と経験を広げ、リーダーシップスキルを開発する必要があります。

 

CEOの地位を維持するために不可欠な視点と行動

スタートアップが移行期間に入ると、以下の視点や行動が必要になってきます。

 

CEOになるためのヒント

  1. 注意と集中
  2. 時間軸:予測とビジョン
  3. 機能的なスキルと専門知識
  4. 開放性と柔軟性
  5. マネジメントスキルとリーダーシップスタイル

 

これらの視点や行動は相互依存していて、並行して対処する必要があります。

 

1.注意と集中

スタートアップ時には創設者の注意と焦点は内部的です。例えば、チームの構築やサービス開発、ビジネスモデルの検証などですね。しかし、移行にともなって、顧客やサプライヤー、パートナー、投資家など焦点を広げる必要があります。

会社が規模を拡大し始めると、潜在的な競合他社や新興企業、経済的、環境的な考慮事項が出てきます。広い視野を持たなければ、トラブルが多発する可能性があります。

 

2.時間軸:予測とビジョン

起業家は意識的に数ヶ月先や数年先まで時間軸を広げなければなりません。彼らは状況を現実的に捉え、未来を描く必要があります。

 

予測とビジョン

  1. ビジョンの定義
  2. 目標の明確化
  3. 重要なニーズの特定
  4. 戦略的な優先順位を確立

 

もし効果的な予測や計画がなければ、拡張的なビジョンは災害につながるだけです。

 

3.機能的スキルと専門知識

スタートアップでは組織が比較的狭い範囲のスキルを必要とし、市場ニーズの理解や製品開発、従業員の採用などに焦点をあてます。しかし先ほども解説したように8つのハードルに対処する必要があるため、幅広いスキルが必要になるわけです。そのためには必要なスキルセットを持つ従業員を雇用して組織の従業員に統合し、自分の知識と経験のギャップを補う必要があります。

リーダーは異なる視点やスキル、経験を持つ仲間、メンター、アドバイザー、従業員から積極的に学ばなければなりません。創業者の強みが他のチームメンバーのスキルとバランスが取れていない場合、通常は問題が続きます。

 

4.開放性と柔軟性

不慣れな課題に直面したとき、過去に成功を収めた方法に頼るのは自然なことです。しかし、現在の状況では失敗するか機能不全に陥る可能性があります。起業家は新しいアプローチを受け入れ、他者の経験から学ばなければなりません。

 

5.マネジメントスキルとリーダーシップスキル

何度も言うように立ち上げ期と成長期に必要なマネジメントスキルは大きく異なります。スタートアップの初期は個人の関係と専門的な関係の境界線が曖昧になりがちです。役割や階層は限定されていますし、どちらかといえば仲間意識や共有目的の感覚が優勢になっています。

しかし、組織が成長するにつれて専門的な役割や階層が増え、絆よりも専門的な関係が重要になります。創設者と初期メンバーには個人的な関係と形式的な関係が入り混じりますが、徐々に関係が浅い従業員が増えてくるわけです。つまり、創設者は個人的なリーダーシップやマネジメントから、他者へのマネジメントの提供に移らなければなりません。

このときに多いのは問題が発生したときに部下を助けたいという誘惑にで移行できず、問題を引き継いでしまうこと。一方的な助けは従業員の主導権を殺してしまいます。起業家は変化する役割を理解し、あらゆる問題を解決する誘惑を避け、他者に委任して信頼、説明責任を果たすことを学ぶ必要があります。

 

まとめ

ここまでスタートアップから成長していく流れで必要なスキルを見ていきましたが、移行しはじめてからが本番なのかもしれません。企業としての成長はもちろんのこと、創業者自身の成長も必要になってきます。特に急成長する企業の創業者は時間が無い中でこなす必要があるので、かなりキツイですね。

 

それではぜひ参考に。

 

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Copyright© ネクストサピエンス│ビジネスマンの科学メディア , 2019 All Rights Reserved.