営業先に贈り物を送る人も少なくないでしょう。これはいわゆる返報性の原理が働くためですが、営業時の小さな贈り物の効果を調査した研究では受取人が正社員だった場合に効果がありませんでした。
営業担当の小さな贈り物はどこまで売上に影響するのか
この研究(1)はスイスの多国籍企業の子会社と共同で2ヶ月行われました。対象になったのは5人の営業担当男女です。
参加者は全員長い経験を持ち、スイス全土に渡って活動しています。交渉は10-15分程度で、220件の販売交渉データを収集しました。
グループ分け
- ギフト群:109件
- ギフトなし群(対照):111件
贈り物の価値は7.7ドル前後で、販売代理店が以前から使っていたのと同じ価値になっています。ちなみにギフトは男女とも魅力的に感じるものです。
結果は以下のような感じ。
結果
- 交渉の始めに贈り物を渡すと2倍以上も売り上げた
- 特に店長と交渉したときに顕著な効果を示した
- 逆に受取人が正社員である場合は影響がなかった
- 平均すると贈り物は7280円の収入を増加させた
- 関係を分析すると、贈り物の影響はある程度の親密さがある交渉に限定された
これらの結果から、交渉開始時の贈り物は販売交渉の収益性を高めます。面白いことに、店長と交渉したときに顕著でした。特に今回の結果は正社員だと効果がないので、注意が必要ですね。
また重要なのが交渉相手との関係性です。著者は以下のように述べています。
またギフトが販売交渉に与える影響はビジネスパートナー間の関係に大きく依存することを示した。販売代理店と顧客が初めて会ったとき、つまりお互いを知らないときの贈り物は平均して売上を増加させません。逆に、代理店の営業パフォーマンスにも支障を来たす。
このように初対面で贈り物をすると、効果はないのでこちらも注意が必要です。著者によれば、この現象は関係の性質から贈り物の意図をどのように感じるかを決定しているとのこと。つまり、信頼関係がない時の贈り物は逆に疑わしいから逆効果ということですね。
小さな贈り物は驚くほど大きな効果をもたらします。しかし、今回の結果は贈り物の落とし穴もたくさん示してくれたので、ぜひ参考に。