性的・暴力的な広告は衝撃こそあるものの、一般的にはタブーとされています。しかし、新しいメタ分析では掲載されているメディアコンテンツが暴力的だと、ブランド態度や購入意欲を低下させると発表されました。
性的・暴力的な広告と広告・ブランド態度のメタ分析
この研究(1)は性的・暴力的な広告は広告やブランドへの態度、購入意向に対してどんな効果があるのかを調査したメタ分析です。一般的に性的・暴力的な広告は注目を集めやすいと考えられています。
しかし、広告を考える上ではROIが重要です。広告のリーチが多くても、購買行動やブランドロイヤルティに影響を与えなければ、意味がないわけですね。
で、このメタ分析は性的・暴力的な広告が広告やブランド、購買行動にどんな影響を与えるかをガッツリ調査しました。論文を精査した結果、8,489人の参加者を含む53件の研究が選択基準を満たしました。
実際に検証したのは以下の項目です。
検証内容
- ブランドの記憶:手がかりなく思い出せるか(想起)、知っているか(認知)
- ブランド態度:ブランドの製品評価
- 購入意向:製品を購入したいか
またこの研究では広告以外にも掲載されているメディアコンテンツも調査しています。つまり、メディア側も性的・暴力的で、同じ場合と異なる場合に比較したわけです。
結果は以下のような感じ。
結果
- ブランドや広告の記憶は性的・暴力的なメディアコンテンツで著しく損なわれた
- 性的・暴力的な広告はブランドや広告の記憶へ影響しなかった
- メディアと広告のコンテンツが一致した場合、記憶が大幅に促進された(一致しない場合は著しく損なわれた)
- 暴力的な広告は中立メディアよりも暴力的なメディアで、ブランド態度が有意に劣っていた
- 性的コンテンツのレベルが高いほど、ブランド態度は否定的だった
- 購入意向は暴力的・性的なメディアで有意に低下した
- 性的・暴力的な広告は購入意向には影響なし
結果は暴力的なメディアコンテンツがブランドの記憶や態度、購入意欲を損なうとわかりました。また性的な広告を使ったブランドは使っていないブランドよりも評価が低いとも示されています。
ただし、メディアと広告が一致(暴力的な番組に暴力的な広告)しているブランドは記憶されやすく、購入意欲も高まりやすいです。もし性的・暴力な広告を検討しているなら、メディアは一致させるのが良いかもしれません。
今回の結果について著者は以下のように述べています。
重要なのは、メディアや広告が広告されたブランドの記憶力やブランドの態度、購入意図(一致を除いて)を向上させたという証拠がなかったことだ。したがって、この種のメディアや広告が広告ブランドに十分な「スピルオーバー」注意を引き、結果を改善する(すなわち、記憶、態度、購入意図)ことはないであろうし、結果にほとんど影響を与えない。
基本的に性的・暴力的な広告は注意を引くかもしれませんが、ブランドや購入意欲には影響がないというわけですね。特に暴力的なメディアでの広告や暴力的な文脈で行う宣伝は効果的な戦略にはなりません。性的な広告も暴力的な広告ほど有害ではありませんが、特別効果的な戦略ではないようです。
宣伝の方法として性的・暴力的な内容にするのも有害ですが、性的・暴力的な内容のメディアでの広告も控える方が良いでしょうね。
それではぜひ参考に。