インディアナ大学の研究によると、Amazonなどにいるトップレビュアーよりもほとんど口コミをしないレビュアーの方が売上に大きく影響するとわかりました。特にレビューの内容は冗長ではなく、ていねいな言葉遣いの時に売上をプラスする影響が見られます。
上位のレビュアーより下位のレビュアーの方が売上に影響した
この研究(1)はレビュー内容の効果が商品の販売に与える影響について調査したものです。データは2014年1月21日~4月15日の約3ヶ月間に発売された182枚の音楽アルバムを対象としました。
ちなみに音楽アルバムは発売直後に急激な売上となり、その後急速に落ち込むという傾向があるので、発売直後の2ヶ月間に絞って分析されています。
レビューの中でも、以下のデータが収集されました。
メモ
- 販売価格
- レビュー数
- 各レビュアーが付けた星の数
- レビュアーのランク
- 「役に立った」の数
そして、上記のデータを収集して、売上への影響を調べた結果、以下のようなことがわかりました。
結果
- トップランクのレビュアーが下位のランクのレビュアーよりも売上への影響力が低かった
- レビューの内容は冗長ではなく、インフォーマルな言葉遣い(句読点が少ない)だと売上にプラスの影響を与えていた
- 下位ランクのレビュアーは冗長ではなく、非公式で、感情的なレビューになる傾向があった
- 製品の年齢が高くなるほど、トップレビュアーの売上への影響は小さくなった
- 逆に下位レビュアーは時間が経つとともに価値が増加した
結果はレビューの評価が高ランクではないレビュアーから来ているほど、売上高との関連が強くなるとわかりました。またレビューの中身も重要で、長すぎずキレイな言葉遣いだと売上にプラスの影響があります。
このことから、レビューが売上に与える影響は「書かれている内容(コンテンツ)」と「誰が書いたか(アイデンティティ)」の両方が必要だということですね。面白いのがSEOでも全く同じ傾向が重要視されていますし、売上への影響に関してはGoogleでも同じ結果が出ているのかもしれません。
今回の結果について著者は以下のように述べています。
トップランクのレビュアーの効果を制限する主な要因の1つは、レビューのスタイルです。上位にランクされたレビュアーは、より長く、より形式的で、社交的で感情的なレビューを書き、その影響力を制限するすべての要因があります。しかし、トップランクのレビュアーに対する反応は、彼らのアイデンティティによっても駆動されます。このことは企業がコンテンツ効果をコントロールしながら、アイデンティティ効果をコントロールできることを示唆しています。
要するにレビューの投稿頻度が低く、素人っぽいレビュアーほど、信頼性が高く売上にも大きな影響があるということですね。
直感的にはそのジャンルで多くの口コミをしている人は信頼できそうですが、実際に売上への影響力を測定するのは困難で、なんとなく影響がありそうと判断してしまいそうです。
実際、人気のあるレビュアーにレビューを依頼する企業もあるでしょう。
しかし、売上に影響するのは下位のレビュアーで、「レビューの内容(コンテンツ)」「誰が書いたか(コンテキスト)」に注目する必要があります。
それではぜひ参考に。