最近発表された研究では、デバイスの種類が購入意欲に影響を与えるという調査結果が出ました。具体的にはタッチスクリーンのデバイスは快楽的な製品の購入意欲を大幅に増加させます。
タッチスクリーンが快楽的製品の購入意欲を増加させる
この研究(1)はタッチスクリーンデバイスと表示される製品に対する心理的な要因を調査したものです。対象となったのは99人の学生で、以下の2つにグループ分けされました。
グループ分け
- タッチスクリーン:49人
- デスクトップ:50人
その後でこちらもランダムに以下の2つを見てもらっています。
グループ分け
- 快楽的な製品:感情的で楽しいもの。(チョコやマッサージ、レストラン)
- 実用的な製品:機能的な目的をもったもの。(パンや文房具、ルームランナー)
つまり、2×2で4つのグループに分けました。次に購入意欲を計測して実験は終了です。
結果は以下のような感じ。
結果
- タッチスクリーン群は快楽的な製品の購入意欲が著しく高かった
- デスクトップ群は実用的な製品の購入意欲が大幅に高かった
結果はデバイスの種類が購入行動に影響を及ぼすと示されました。具体的にはスマホやタブレットだと快楽的な製品の購入意欲が上がり、パソコンでは実用的な製品の購入意欲が高くなります。最近はデバイスの使用率が高くなっているので、快楽的な製品の方が売りやすいかもしれませんね。
またもう1つの実験では思考スタイルが購入意欲の仲介をしていると示されています。この実験は100人の学生を対象として「デスクトップ(44人)」と「タッチスクリーン(56人)」に分けました。先ほどと同じように製品も分けています。
グループ分け
- 快楽的な製品:映画のペアチケットと映画のドリンク券
- 実用的な製品:床屋のヘアカット・シャンプー券
最後に購入意欲と状況固有の思考スタイル尺度を測定して実験は終了です。ここで言う思考スタイルは主に2種類あります。
思考スタイル
- 体験的思考スタイル:全体的に感情的
- 合理的思考スタイル:分析的で論理的
この思考スタイルは特定の状況に応じて変化するもので、デバイスタイプによって思考スタイルが変わる可能性があるわけですね。
結果は以下のような感じ。
結果
- タッチスクリーンの使用が体験的思考スタイルと正の相関を示した
- 体験的思考が高いほど、快楽的な製品の購入意欲が大幅に増加し、実用的な製品の購入意欲は大幅に減少した
- タッチスクリーンの使用は合理的な思考スタイルと負の相関を示した
- 合理的な思考スタイルは快楽的な製品の購入意欲を減少させ、実用的な製品の購入意欲を増加させた
結果はデバイスタイプによる購入意欲の影響が状況固有の思考スタイルによって仲介されていることを示しています。具体的にはタッチスクリーンを使用すると、体験的思考が強化されて快楽製品の購入意欲が向上し、実用的な製品の購入意欲は低下します。
著者は今回の結果について以下のように述べています。
企業のマルチチャネルマーケティングの使用の増加を考慮すると、最新の広告はほとんどの場合タッチスクリーンテクノロジーを使用する消費者のモバイルデバイスだけでなく、コンピューターで読み取られるWebサイトや電子メールを通じて配信されます。私たちの結果は、消費者がタッチスクリーンで快楽製品を購入し、デスクトップで実用的な製品を購入することを望んでいることを示唆しています。したがって、製品の性質と製品メッセージが表示されるデバイスのタイプの両方をしっかりと理解することは、効果的で成功するプロモーション戦略を実施するために不可欠です。
実践的には自社の製品特性を理解してから、デバイスを選択的に広告配信してみると効率が良いかもしれません。とはいえ、CVRには色々な要素が絡むので、デバイスの影響がどこまで大きいかは疑問が残るところ。
もし製品が快楽的製品でスマホのCVRが有意に高ければ、この研究がひとつの要因として考えられます。逆に実用的な製品なのにパソコンのCVRが低いなら、何か問題があるかもしれません。
それではぜひ参考に。