セクシーとユーモアが広告やブランドに与える影響を調査した研究では、高い快楽レベル(楽しさや感動)を引き出した広告が広告態度やブランド態度、購入意図にプラスの効果を示しました。
面白い広告とセクシーな広告を比較した研究
この研究(1)はセクシーとユーモアの広告が広告への態度やブランド態度にどこまで影響するのかを調査したものです。広告にはユーモアにあふれるものや感動的なもの、怖いものなどがあります。このような広告を一度は見たことがあると思いますが、学術的には感情的な魅力と言います。
広告モデルとしては色々な説明があるのですが、大きく分けると「快楽」と「覚醒」の2つの側面で構成されています。
広告モデルの2つの側面
- 快楽:感情的な魅力の中心的な役割。セクシーさや温かさ、ユーモアなどの魅力につながる。
- 覚醒:睡眠から興奮までの活性化のレベル。感情的な訴求は覚醒を引き出す。
少しイメージしづらいので、図解にすると以下のようなイメージです。
で、実験では広告への態度やブランド態度に対する「快楽」と「覚醒」の複合効果はセクシーさやユーモアでどれだけ変わるかを検証しています。
参加者は23人の男女で、3種類の広告を提示しました。
広告の種類
- セクシーな広告
- ユーモラスな広告
- ニュートラルな広告(対照):セクシーでもユーモラスでもない
上記の3種類は「中程度の快楽」と「高い快楽」に分けて比較しているので、3×2で合計6つに分けて比較されています。ちなみに広告に対する喜びのスコアは予備研究で検証されたものです。
最後に広告に対する態度をアンケートで測定して、実験は終了しています。
結果は以下のような感じ。
結果
- 高い快楽は中程度よりもわずかに高い効果を示した(有意)
- セクシーやユーモア、対照の広告には有意差が出なかった
結果は広告の種類に関係なく、快楽のレベルが広告に対する態度を決定しました。つまり、色々な種類のアピールが同じレベルの快楽を呼び起こすなら、広告に対する評価は同じであるわけですね。
快楽レベルと覚醒レベルは広告にどんな影響があるか?
2つ目の実験ではセクシーの有無×快楽(中、高)×覚醒(中、高)で比較しました。参加者は120人の成人男女で、8つの条件のいずれかにランダムで分けられています。
この研究では広告への態度だけではなく、ブランド態度や購入意向も測定されました。
結果は以下のような感じ。
結果
- 高い快楽は「広告に対する態度」「ブランド態度」「購入意図」に有意な効果を示した
- セクシーさの有無と覚醒レベルは「広告に対する態度」「ブランド態度」「購入意図」に有意差なし
- セクシーさと覚醒は相互作用があり、高い覚醒をもたらしたセクシーな広告は「広告態度」「ブランド態度」「購入意図」にポジティブな影響を与えた
結果はやはり高い快楽レベルを引き出した広告が広告態度やブランド態度、購入意図にプラスの効果を示しました。
セクシーさや覚醒は有意差がありませんでしたが、快楽レベルが低い場合にポジティブな効果がありました。具体的にはセクシーさが高い覚醒を引き起こしましたが、セクシーではない広告にはなかったです。
とはいえ、これらは心地よくない(不快)な広告にのみ発生するものなので、心地いい(快楽)広告には関係がありません。もっといえば、快楽レベルが高い場合はユーモアやセクシーさはそれほど重要ではないと言えます。
わたしたちの調査結果は快楽の度合いが低い場合、セクシーな広告が覚醒を機能させ説得力を上げます。これはカルバンクラインの広告のような「ショック」戦略の有効性を示唆しています。同時に広告が効果的であるために衝撃的である必要は一切なく、コンテンツに関わらず、楽しい広告が機能します。
広告では衝撃を与えるよりも快楽(楽しさや幸福、感動)を重視した方が良さそうですね。今回の結果を見ると、ディズニーやAmazonの広告はブランド態度や購入意図にまで強い影響がありそうです。
衝撃的よりも快楽は覚えておきたいです。
それではぜひ参考に。