マーケティングにおいて口コミはとても重要ですが、最近では信用できない口コミも増えてきました。そんな中、口コミの信頼性が口コミの有用性や購入意欲にプラスの効果を与えるという調査結果が発表されています。
口コミの信頼性と消費者行動
この研究(1)はネット上にある口コミの情報源が与える影響をメタ分析した面白い研究です。口コミを利用したマーケティング施策は上手くハマれば、売上を促進する要因となります。しかし、自分が何かを買うときを思い出すと、明らかに企業側がチョイスしたであろう口コミは参考にならない場合もあります。
これは口コミの信頼性が低いと判断した場合に機能しなくなる可能性があるということですが、ここで重要なのは口コミの情報源です。このメタ分析ではこの情報源を3つに分類しています。
情報源の分類
- ソースの専門知識
- ソースの信頼性
- ソースのホモフィリー:同じ属性の人とつながろうとする傾向。自分と似た相手から影響を受けやすい。
そして、この3つが以下のマーケティングの要素にどんな影響を与えているかを調査しています。
口コミの要素
- 口コミの有用性
- 口コミの採用
- 購入意欲
- 口コミの信ぴょう性
図にすると以下のような感じ。
研究では口コミのソースの信頼性の影響について調査した研究を精査して、32件の研究が選択基準を満たしました。
結果は以下のような感じ。
結果
- ソースの専門知識は口コミの有用性にプラスの効果を示した(0.459)
- ソースの専門知識は口コミの採用にプラスの効果を示した(0.341)
- ソースの専門知識は購入意向にプラスの効果を示した(0.470)
- ソースの専門知識は口コミの信ぴょう性にプラスの効果を示した(0.448)
- ソースの信頼性は口コミの有用性にプラスの効果を示した(0.521)
- ソースの信頼性は口コミの採用にプラスの効果を示した(0.273)
- ソースの信頼性は購入意向にプラスの影響を示した(0.456)
- ソースの信頼性は口コミの信ぴょう性にプラスの効果を示した(0.539)
- 情報源と受信者の間のホモフィリーは購入意向にプラスの効果を示した(0.370)
- 情報源と受信者の間のホモフィリーは口コミの信頼性にプラスの効果を示した(0.494)
結果は提案されたすべての仮説で有意に正の関連が見られました。この結果を見ると、口コミを利用するなら、口コミをした人の専門知識や信頼性が重要とわかります。ただ口コミを並べればいいとわけでもないようです。
また口コミをした人が自分と似た属性なのかどうかも、購入意欲や口コミの信ぴょう性にプラスの効果を与えました。ユーザーにとっては口コミをした人がどのような人なのかも重要なポイントです。
著者は以下のようにアドバイスをしています。
プラットフォーム管理者にとって重要なのはレビュアーのプロフィールページに、専門性や信頼性、好き嫌いの観点から、レビュアーの信頼性に関する情報を明確に示す情報が含まれていることです。またレビュアーの経歴や職業、年齢、地理的位置などの追加情報も役立ちます。このタイプの情報は読者がレビュアーの信頼性や類似性(ホモフィリー)について推論できるように、レビューとともに提供されるべきです。
EC担当者などで口コミを掲載しているのであれば、口コミをした人の情報も購入意欲に関係すると理解する必要があります。
実践例としてレビュアーの評価をランキング形式で公開するという方法が挙げられています。Amazonではレビュアーの中にバッジが付く機能があります。
こういった口コミの情報源を重視した工夫はユーザーにも売上にも役立つかもしれません。
それではぜひ参考に。