お店が混雑しているときにテンポの速い音楽を流すと売上が上がるという調査結果が発表されました。
混雑時にテンポの早い音楽が売上を高めるという研究
この研究(1)は店内音楽のテンポによって、小売の混雑の影響を緩和するかを検証したものです。音楽は低コストで利用でき簡単に変えられるので、売上に違いが出るなら知っておきたいところ。
実験は北ヨーロッパの大規模な食料品チェーン6店舗で行われました。それぞれのスーパーは以下の6つの条件で操作されています。
グループ分け
- 速いテンポの音楽(107bpm以上):ラジオ広告あり、広告なし
- 遅いテンポの音楽(82bpm以下):ラジオ広告あり、広告なし
- 音楽なし:ラジオ広告あり、広告なし
実験は2014年5月-6月の6週間にわたって行われ、毎日音楽条件は変化しました。実験ではお客さんの以下のデータも収集しています。
診断内容
- 合計買い物かご値(SBV)
- 購入した製品数
最終的には43,676件のデータが収集され、平均2175円使っていました。
結果は以下のような感じ。
結果
- 中程度の混雑が最も合計買い物かご値を高め、低・高レベルの混雑は合計買い物かご値を低下させた(逆U字)
- 速いテンポの音楽は平均して合計買い物かご値にプラスの影響を示した
- 店内が混雑している場合、テンポの速い音楽は平均8%も合計買い物かご値を大きくした(製品数にも強いプラスの効果あり)
- 混雑していない場合は、音楽のテンポは購入した製品数に大きな影響を与えなかった
- 音楽の平均商品価格に対する影響はなかった
結果は速いテンポの音楽が平均して、合計買い物かご値を高めました。つまり、テンポの速い音楽は混雑しているときの悪影響を緩和できるわけですね。
特に追加の分析で顧客が高い製品を購入するのではなく、より多くの商品を購入している可能性があると示されました。混雑していなければテンポの速い音楽は意味がありませんが、混雑しているときは平均8%も一人あたりの売上が伸びます。これは中々大きな違いです。
著者は今回の結果について以下のように述べています。
我々の結果は小売業者が認知された社会的密度を慎重にコントロールする手段を採用すれば、ある程度適度な社会的密度の正の効果を活用できることを示唆する。本研究の知見から明らかなように、音楽は高密度のネガティブな影響に対抗するための小売業者にとって有用なツールである可能性がある。買い物客に多くの選択肢を提供したり、店の内装デザインを変えたりするなど、混雑を緩和することが示されている他の戦略と比較して、店の環境音楽を調整することは、より効率的で実行しやすいだろう。
小売業者の方は社会的密度の活用や混雑時の音楽を上手く活用する余地があります。例えば、比較的空いている時間帯は音楽を控えるほうがロイヤリティや電気代の節約になるかもしれません。お客さんが少ない場合は顧客の支出は改善しないですし。
大手の小売業者の方は混雑レベルを自動で検知して、音楽を流すなどができそうですね。一人あたりの購入数が増えれば、かなりの売上アップにつながります。
それではぜひ参考に。
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