広告に付いているスポンサーシップの開示が与える影響を調査した研究では、インフルエンサーがスポンサーシップを開示して投稿すると、広告の認識を高めて不信感も向上させると発表されました。
スポンサーシップの開示が口コミにどんな影響を与える?
この研究(1)はFacebook広告に表示されたスポンサーシップが口コミにどんな影響を与えるのかを検証しています。対象になったのは409人のFacebookユーザーで、以下の4つにランダムで分けられました。
グループ分け
- スポンサーシップ開示&有名人
- スポンサーシップ開示&ブランド(企業)
- スポンサーシップ開示なし&有名人
- スポンサーシップ開示なし&ブランド(企業)
参加者は自分のFacebookのニュースフィードを見るように頼まれました。その中には上記のどれかが表示されました。
その後アンケートに回答してもらっています。内容は以下のような感じ。
アンケートの内容
- Facebookの使用頻度
- 投稿を共有する意図
- ブランドについて(想起や親しみやすさ、ブランド態度)
- 概念的な説得知識:Facebookの投稿が宣伝されていたかどうか(広告の認識)
- 態度的な説得知識:Facebookの投稿は信頼できるかどうか(広告に対する不信感や嫌悪感)
- eWOM(ネットの口コミ):Facebookの投稿はシェアする価値があるかどうか
説得知識(PK)とは、消費者を説得するために使う目標や戦術のことです。概念的なPKは広告を認識しているかで、態度的なPKは広告に対する不信感や嫌悪感を指します。
今回の研究では「以下のような流れで口コミに影響を与えるのでは?」とモデル化されています。
結果は以下のような感じ。
結果
- 多くの参加者はスポンサーシップの開示を覚えていなかった
- 開示を認識した人は有意にプラスの効果があった
- 開示に気づかなかった人は概念PKに影響を与えない
- Facebook広告に開示が含まれている場合、概念的PKが有意に高かった
- 有名人が投稿するよりもブランドが投稿した方が広告として認識される可能性が非常に高かった
- 有名人が開示なしで投稿した場合のみ、概念的PKが有意に低くなった
- 有名人が開示付きでFacebook広告を投稿すると、広告としての認識を高め、不信感が高まった(ブランドの場合は影響なし)
- 有名人が開示付きでFacebook広告を投稿すると最終的にeWOMが低下した(ブランドによる投稿は影響なし)
結果は多くの人はスポンサーシップにも気づかず、広告として認識していないとわかりました。スポンサーシップに気づいた場合はブランドでも有名人でも広告の認識は変わりませんでした。
ただし、有名人がスポンサーシップを付けなかった場合のみ広告としての認識が低下しています。逆に面白いのが有名人がスポンサーシップを開示して投稿すると、広告としての認識を高める上に不信感も向上した点です。ブランドでは投稿への不信感は変化していないので、参考になる結果ですね。
著者は今回の結果について以下のように述べています。
私たちの研究はFacebook投稿の商業目的を消費者に知らせるスポンサーシップ開示が有名人の支持に重要な悪影響を及ぼし得ることを示している。スポンサーシップの開示が発覚した場合、広告としての認識度合いを高め、広告への不信感を生み、eWOM(電子口コミ)を低下させることで、有名人の支持という利点を奪う。
ただしスポンサーシップの開示はブランドアカウントで投稿されたFacebook広告を害するようには見えない。消費者はブランドが発信するメッセージを広告と認識するため、この種の広告は詐欺とは受け取られない可能性がある。
企業アカウントから投稿されている場合は元々広告という認識ですが、インフルエンサーの場合はオーガニック投稿が前提なので評価が落ちるということなのでしょうね。マーケティング担当者の方は肌感でわかっているかもしれませんが、インフルエンサーマーケティングをするときにスポンサーシップの開示を行うと、効果が落ちる可能性があります。一方で、企業アカウントやブランドアカウントで投稿する場合はスポンサーシップの開示はどちらでも変わらないので、気にする必要はありません。
それではぜひ参考に。