企業とインフルエンサーの比較研究によると、インフルエンサーのツイートはブランドの知名度に関わらず、ブランド評価に影響することはありませんでした。
企業ツイートとインフルエンサーによるツイートの比較研究
この研究(1)は一般的な企業ツイートとインフルエンサーによるツイートが消費者の反応にどう影響するのかを調査したものです。参加者は149人の大学生で、スニーカーのブランドで調査しました。
対象となったブランドはよく知られている「Vans」となじみのない「R.Mac」というブランドでした。実験では3種類のツイートで調査されています。
ツイートの種類
- インフルエンサーによるツイート:インフルエンサーが製品について投稿
- 企業による有料ツイート:企業が「Promoted by 〇〇」付きでツイート
- 企業によるオーガニックツイート:企業が製品について通常ツイート
実験に協力したインフルエンサーは「リル・ウェイン」というラッパーでした。今回の実験では2ブランド×3ツイートで6つの条件に分けて実験したわけですね。
参加者は6つのいずれかにランダムに分けられて、アンケートに回答するよう求められました。アンケートの内容は以下のような感じ。
アンケート内容
- ブランドの親しみやすさ
- ツイート内に含まれるURLのエンゲージメント
- 有名人とブランドは一致しているか
結果は以下のような感じ。
結果
- 55%の人はツイートを見てブランドの追加情報を検索する動機付けになったと回答
- 49%の人はツイートを見てブランドを試したいと回答
- 40%の人はツイートを見てブランドを探したと回答
- 26%の人はツイートを見てブランドを使ったと回答
- 馴染みのあるブランドでは企業オーガニックツイートが企業有料ツイートよりもクリック率が高かった
- 馴染みのないブランドはクリック率に有意差なし
- 「プロモートバイ」ツイートは馴染みのあるブランドで評価を低下させた
- 馴染みのないブランドは「プロモートバイ」ツイートで違いがなかった
- インフルエンサーのツイートはブランド評価に影響しなかった
- ブランドの購入者は非購入者よりもURLのクリック率が高かった
結果はTwitterが消費者にブランドを認知してもらい、追加情報を探すよう促すのに有力と示しています。特に馴染みのないブランドである「R.Mac」は評価が高かったです。
過去の研究(2)でも、若い消費者は新しいブランドに惹かれやすいと示されています。R.Mac自体は新しいブランドではないようですが、知名度が低かったため同じ効果があったと推察されます。
ただし、インフルエンサーのツイートはブランドの馴染みに関わらず、ブランドの評価に影響しませんでした。この結果については、著者が以下のように述べています。
少なくともこの研究の調査結果は有名人のツイートは製品情報を伝え、オンライン検索を促進する以上の影響はほとんどないようです。
また面白いのが馴染みのあるブランドは「Promoted by」ツイートでブランドの評価が低下しました。一方の馴染みのないブランドは影響がなかったことです。この結果を考えると、信頼性が確立されたブランドは露骨にマーケティングメッセージを投稿すると、ブランドの信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。面白いですね。
総じて言うと、インフルエンサーマーケティングは多くの人に素早くリーチする方法ではありますが、ブランドエンゲージメントやブランドの評価向上にはつながりづらいということですね。
それではぜひ参考に。