幸せホルモン「オキシトシン」を広告に利用する方法が誕生してた件

幸せ

 

オキシトシンと広告の関係を調査した興味深い研究では、オキシトシンが公共サービスによる広告の反応を促進し、行動に移しやすくすると発表されました。

 

幸せホルモンと公共サービス広告の研究

この研究(1)はオキシトシンが公共サービス広告の注意や行動を促すのに重要な要因かを調査したものです。注意と行動というのは定番的なAIDAモデルに沿ったものです。

 

実験の流れ

  • A:注意
  • I:関心
  • D:欲求
  • A:行動

 

この中で「注意」と「行動」はオキシトシンと関係がある可能性がありました。理由はそれぞれあって、注意では副腎皮質ホルモンがパフォーマンス維持に役立ち視覚的注意を高めるからです。一方の行動ではオキシトシンが共感と関連付けられているからです。つまり、広告に共感して行動に移してくれるかもしれないわけですね。

これらを調査するために、実験は2つ行われています。

 

1.オキシトシンを増やすと公共サービス広告の効果はどこまで変わるか?

1つ目の実験では41人の男子学生を対象として行われました。

 

グループ分け

  1. オキシトシン群(20人):40IUのオキシトシンを鼻腔内に注入
  2. 対照群(20人):4mlの食塩水を鼻腔内に注入

 

参加者にはパソコンのあるデスクに座ってもらい、ヘッドフォンをしてコンピュータに短いビデオ広告を16本見てもらいました。ジャンルは様々で喫煙や飲酒、スピード違反、地球温暖化などの公共サービス広告です。

広告は30-60秒続き、広告についてどう感じたかを回答してもらっています。参加者は回答すると5ドルもらえますが、一部を慈善団体に寄付しました。

結果は以下のような感じ。

 

結果

  • オキシトシン群(33%)はプラセボ(21%)よりも有意に多くの慈善団体に寄付した
  • オキシトシン群は平均56%も多くのお金を寄付した

 

結果はオキシトシンを吸って広告を見ると、多くの慈善団体に寄付し、平均寄付額も多くなりました。つまり、オキシトシンが人への関心に対する感受性を調整することで寄付に影響を与え、他者への関心を誘発する広告に反応して行動に移したと示しています。

注意点としてすべての広告で関心を高めたわけではありませんが、大きな関心を引き出したときに寄付を増加させました。

著者はこの結果について以下のように述べています。

 

調査結果は個人の状態と広告内容とのマッチングの重要性を明らかにした。オキシトシン群の参加者は全ての広告に対して大きな関心を報告しなかったが、より多くのエンゲージメントを報告し、広告コンテンツが高められた共感と一致した時に財布を開いた。このことはオキシトシンを上昇させる公共サービス広告が個人の注意を他のニーズに向けるときに最も効果的であることを示唆する。このようなアプローチがなければ、視聴者自身のニーズに焦点を当てた広告が最も効果的なようだ。

 

つまり、オキシトシンを利用してエンゲージメントを高めるなら、ニーズに合わせて共感できるような広告が効果的ということですね。

 

2.広告を見せてからオキシトシンを測定すると寄付額はどうなってる?

2つ目の実験では、38人の男女学生を対象として行われました。参加者には喫煙に関する59秒の広告を見せて、血液を採取しました。

喫煙に関する広告が選ばれたのは禁煙をやめるよう説得するのが目的で行われ、広告の中で最も「他者への配慮」を引き出したからです。

広告を見てもらった後で経験した感情を評価するよう求められました。最期に禁煙慈善団体に寄付する機会が与えられ、実験は終了しています。

結果は以下のような感じ。

 

結果

  • 広告を見ると、副腎皮質ホルモンが大幅に増加した(広告がほとんどの参加者の注目を集めた)
  • 広告の表示によるオキシトシンレベルの有意な変化はなかった
  • 広告を見た後にオキシトシンと副腎皮質ホルモンの両方が増加した参加者は261%も多く寄付をした

 

結果は広告が副腎皮質ホルモンとオキシトシンの増加を引き起こしたとき、行動を促進すると示されました。実験1では外部からのオキシトシンの誘発で寄付を増加させましたが、実験2ではオキシトシンだけでは寄付と関係がありませんでした。

この結果については著者は以下のように述べています。

 

実験1では外因性オキシトシンを用いて寄付との因果関係を確立した。実験1は80分の負荷期間後に700%以上の血中オキシトシンレベルの増加を示した。実験2では血中オキシトシンが19%増加したことから、広告表示後の作用に対する内因性放出の影響は外因性の影響よりも小さく、より微妙であることが示唆された。

 

つまり、オキシトシンの量が効果に違いを生んでいる可能性があるわけです。広告に利用するなら、この辺りの工夫も必要になりそうです。

また面白いのが自己報告のデータでは他人に対する注意と関心の間の相互作用は認められませんでしたが、ホルモンデータでは明らかな相互作用がありました。つまり、人間が直接発生するオキシトシン放出のトリガーを脳が区別できていない可能性があるわけです。

科学的にオキシトシンを放出する活動とわかっているのは以下の通りです。

 

オキシトシンを放出する活動一覧

  1. 感動的なビデオ
  2. 信頼される
  3. 触られる・ハグ
  4. 結婚式に出席する
  5. 犬と触れ合う
  6. 適度なストレス
  7. 幼児を抱く
  8. 性行為
  9. マッサージ
  10. 音楽を聴く/歌う

 

これらの活動を含む広告はオキシトシンの放出を増加させる可能性があります。例として化粧品の広告であれば、化粧水ボトルのイメージを使うよりも、他の人が化粧水を塗っているところを使うと効果的になる可能性があります。

またオキシトシンが高まりやすい場所に広告を出すというのもありかもしれません。

 

それではぜひ参考に。

 

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Copyright© ネクストサピエンス│ビジネスマンの科学メディア , 2019 All Rights Reserved.